日本語・英語・中国語が混在するラベルを読む ― 輸入部品の受入で起きること

輸入貨物の受入エリア。奥のシャッターが開いた搬入口越しにトラックの荷台が見え、手前にはストレッチフィルムで梱包された段ボール箱を積んだパレットと、書類を重ねた金属製の受付台が並んでいる。作業着の人がパレットの脇に立ち、手にしたスマートフォンを一番上の箱にかざしている

輸入部品のラベルには、バーコードの周りに日本語・英語・中国語が混在して印字されていることがあります。担当者がその場で読めず、確認のために作業が止まった経験はありませんか。

結論から言うと、中国語が混じったラベルは「読める人に聞く」「写真を撮って翻訳アプリにかける」という今のやり方のままだと、確認のたびに人と時間を使います。 対応策は、コードの読み取りに加えて、ラベル上の印字そのものを日本語・英語・中国語(簡体字)まとめてその場で読み取り、項目として抜き出すことです。この記事では、輸入部品の受入検査で何が起きているかを分解し、どこから手を付けられるかを整理します。

輸入部品の受入検査で、なぜ中国語混在ラベルが問題になりますか?

ラベルの言語が統一されていないためです。輸入部品のラベルは、送り主の国の言語(中国語)、国際的な取引で使われる英語、そして日本向けに追加された日本語の3つが、同じラベルの中に混在して印字されていることが珍しくありません。

バーコードやQRコードの部分はどの担当者でも読み取り機で処理できます。詰まるのは、コードの周りに印字された品番・製造日・ロット番号・数量表記といった文字情報です。ここが中国語だけで書かれていると、日本語しか読めない担当者はその場で判断できません。

当社が輸入部品を扱う現場を拝見する機会が増える中で、この「コードの外側にある中国語の印字」を巡る相談を受けることが増えてきました。バーコードに載っていない情報の転記が課題になる構図自体はバーコードに載っていない情報をどう記録するかで扱った内容と同じですが、そこに言語の壁が重なるのが輸入部品特有の点です。

今、現場では中国語の混じったラベルをどう処理していますか?

多くの現場で、確認は人に依存する形で行われています。

中国語が読める担当者に聞く

社内に読める人がいれば呼びに行きます。その人が休みや別の作業中だと、確認はその場で止まります。

翻訳アプリで撮影して調べる

スマホの翻訳アプリでラベルを撮影し、訳を読んで転記します。訳を見た後、結果を台帳へ書き写す作業は別に残ります。

読み間違えたまま記録する

似た漢字を見誤ったり、桁を読み違えたりしたまま記録され、後工程で在庫の品番違いとして発覚することがあります。

いずれの方法も、確認する人・確認の手間・読み違いのリスクのどれかが残ります。個人の語学力に依存している間は、担当者が変わるたびに同じ確認作業を一から積み直すことになります。

翻訳アプリや生成AIに写真を送るのでは、なぜ足りないのですか?

2つの理由があります。転記の手間が残ることと、画像を外部へ送ることです。

翻訳アプリは、撮影した文字を訳して画面に表示するところまでです。その訳を見て、担当者が台帳や在庫システムへ改めて入力する作業は別に残ります。読み取りから記録までが一つながりになっていないため、確認の手間自体は減っていません。

もう一つは送信先の問題です。翻訳アプリや生成AIの多くは、撮影したラベルの画像そのものを外部のクラウドサービスへ送信します。品番や仕入先が特定できる画像を社外に出せるかどうかは、取引先との契約や社内のデータ管理方針で判断が分かれます。この点はハンディターミナルを買い替える前にで整理した、生成AIとイチヨミOCRの違いと同じ構図です。社外にデータを出す判断そのものについてはクラウドに出せないデータをどう扱うかにまとめています。

日本語・英語・簡体字が混在するラベルは、どうすれば受入検査の流れの中で読み取れますか?

コードの読み取りに、印字の読み取りを一つ足す構成にします。全面的な置き換えは必要ありません。

工程 1 コードを読む バーコード・QRコードは今の運用のまま読み取ります。ここは言語の影響を受けません。
工程 2 ラベル上の印字を、混在したまま読み取る 日本語・英語(英数字)・中国語(簡体字)が同じラベルに混在していても、その場で文字として読み取ります。
工程 3 社内のマスタ・辞書と照合する 読み取った品番やロット番号を社内の呼び方と突き合わせ、合っていない項目だけを確認対象にします。

当社のイチヨミOCRは、日本語・英語(英数字)・中国語(簡体字)に対応しており、AI処理は端末内で完結します。ラベルの画像を外部のクラウドへ送る前提ではないため、品番や仕入先が写った画像を社外に出さずに読み取れます。

条件も同じ場所に書いておきます。AI処理を端末の中で行う構成のため、読み取りの速さや安定性は使う機種の性能に左右されます。 どの機種でも同じように動くわけではないので、実際に使う端末で確かめてから決める前提です。また、対応しているのは印字された文字であり、ラベルに手書きで書き足された文字は対象外です。

どこから始めれば、既存の受入検査の流れを止めずに導入できますか?

全取引先・全部品を一度に対象にしないことです。

これまで

  • 中国語の部分は読める担当者に確認を頼む
  • 翻訳アプリで撮影し、訳を見て台帳へ転記する
  • 読み違えたまま記録され、後工程で発覚する

見直し後

  • 混在したラベルをその場で文字として読み取る
  • 社内マスタと照合し、外れた項目だけ人が確認する
  • 読み取った画像・結果・修正履歴が端末内に残る

始め方としては、中国語ラベルの比率が高い仕入先を1つ選び、その受入ラインから着手するのが現実的です。取引先ごとにラベルの書式は異なるため、対象を絞ればその違いを先に洗い出せます。全仕入先を一度に対象にすると、書式の違いを整理する作業だけで時間がかかり、効果が出る前に止まります。

今のバーコード読み取りやハンディ端末の運用は、そのまま残せます。追加するのは「ラベル上の印字を、言語が混在したまま読む」工程だけです。

まとめ

  • 輸入部品のラベルは日本語・英語・中国語が混在して印字されており、コードの外側にある文字情報で確認が止まりやすい
  • 今のやり方(読める人に聞く・翻訳アプリで撮影する)は、確認する人・転記の手間・読み違いのいずれかが残る
  • 翻訳アプリや生成AIの多くは、ラベルの画像そのものを外部のクラウドへ送信する。社外に出せるデータかどうかは別に判断が要る
  • 対応策は、コードの読み取りに混在言語のまま印字を読み取る工程を一つ足すこと。全面的な置き換えは不要
  • 読み取りの速さは機種の性能に左右される。どの機種でも同じように動くわけではない
  • 導入は中国語ラベルの比率が高い1つの仕入先から始めるのが現実的

扱っているラベルの書式や言語の組み合わせは仕入先ごとに違うため、実際のラベルを拝見すれば1回の打ち合わせで対応可否を整理できます。30分の無料相談で、対象の仕入先からご一緒に確認します。

よくある質問

簡体字だけでなく繁体字のラベルも読み取れますか。

現時点で対応しているのは日本語・英語(英数字)・中国語の簡体字です。繁体字や他の言語が混じったラベルへの対応可否は、実際のラベルを拝見してからお伝えします。取引先ごとにどの言語で印字されているかを先に整理しておくと、導入の可否を判断しやすくなります。

中国語が読めない担当者でも、そのまま使えますか。

使えます。読み取った文字は項目として抜き出し、社内のマスタや辞書と照合するので、担当者自身が中国語を理解している必要はありません。照合で合っていない項目だけが確認対象として残ります。

翻訳アプリで写真を撮って調べる今のやり方と何が違いますか。

翻訳アプリは文字を訳して見せるところまでで、その結果を台帳や在庫システムへ転記する作業は残ります。また多くの翻訳アプリや生成AIは、撮影したラベルの画像そのものを外部のクラウドへ送ります。この違いはハンディターミナルを買い替える前にで整理した内容と同じです。

導入は取引先や部品を全部対象にしないと始められませんか。

特定の取引先や特定の部品カテゴリから始められます。中国語ラベルの比率が高い仕入先を1つ選び、そこから運用を確認するのが現実的です。全件を一度に対象にする必要はありません。

今使っているバーコードの読み取りやハンディ端末は残せますか。

残せます。コードの読み取りは今の仕組みのまま使い、ラベル上の文字を読み取る部分だけを追加する構成です。既存の受入検査の流れを全面的に置き換える前提ではありません。詳しくはバーコードに載っていない情報をどう記録するかにも整理しています。

費用はどのくらいかかりますか。

対象の言語・ラベルの種類・台数によって変わるため、この記事では金額を出しません。実際のラベルを拝見したうえで、30分の無料相談で目安をお伝えします。

自社の業務でどこまで自動化できるか、確かめませんか

30分の無料相談で、対象業務をお聞きして実現できる範囲と概算をお伝えします。

無料相談を予約する →

関連する記事

エッジAI

バーコードに載っていない情報をどう記録するか ― 入庫検品の転記をなくす

入庫検品では、コードを読んだ後に製造日・賞味期限・ロット番号を人が書き写す時間が残ります。工程を分解すると転記は現品から紙へ、紙からシステムへと二度発生しています。どこで転記が起きているか、その誤りが在庫差異や先入先出にどう波及するか、回収時に遡れる形で残すには何が要るかを整理しました。

続きを読む →

エッジAI

ハンディターミナルを買い替える前に ― スマホで代替できる範囲と、できない範囲

ハンディターミナルの更新時期は、買い替えを決める前に一度立ち止まれます。バーコードの読み取りは手持ちのスマホで代替でき、専用機が読めない製造日・ロット・型番までその場でデータ化できます。一方で堅牢性や手書き帳票など、置き換えないほうがよい範囲もあります。専用機・生成AI・イチヨミOCRの3者を、端末コスト・通信・データの外部送信で比べて整理しました。

続きを読む →

AIエージェント

クラウドに出せないデータをどう扱うか ― AIエージェント導入時の判断

AIエージェントは社内データにアクセスして初めて役に立ちます。だからこそ、どのデータを外に出してよいか・誰がそれを判断するかを先に決めておく必要があります。全面オンプレ化ではなく、判断軸でデータを切り分ける現実的な進め方を、導入支援の現場から整理しました。

続きを読む →

エッジAI

エッジAI導入の失敗は精度不足だけではない ― 現場で止まる原因と、機器を選ぶ5つの観点

エッジAI導入の失敗は、精度不足だけが原因とは限りません。検証環境と現場では温度・粉塵・振動・電源・稼働時間の条件が違います。機器を選ぶ5つの観点、一般的なデスクトップPCを本番運用に勧めない理由、機器選定を精度検証と並行させる進め方、予備機と監視をセットで入れる理由まで整理しました。

続きを読む →

エッジAI

エッジAIとは ― クラウドとどう使い分けるかで考える

エッジAIは「現場の機器側でAIを動かす」やり方です。何ができるのかではなく、クラウドとどちらを選ぶべきかという判断軸で整理しました。製造・物流・空港の現場を前提にした実務向けの解説です。

続きを読む →

AI導入の進め方

愛知・三重の製造現場でAIを導入する ― 地域で相談できる体制で考える

製造現場のAI導入は、現物とラインを実際に見ないと詰まります。だからこそ愛知・三重のような近い距離で、顔を合わせて相談できる相手かどうかが効いてきます。当社が東海圏で手がけた中部空港の手荷物管理や鉄鋼の外観検査の経験から、地域で相談できる体制のどこに価値があり、遠方のベンダーだけで進めるとどこで止まるのかを整理しました。

続きを読む →
お問い合わせ →